シャープの行方

 大阪の中小企業の一員として、シャープの行方について黙ってはいられません。シャープが液晶に賭け、堺市に大規模な最新鋭工場を作ると決めた時から私は危ない!と思っていました。それ以来、シャープの動きを注意深く眺めてきました。

 シャープが鴻海(ホンハイ)精密工業と買収に向けて優先的に交渉を進めることに合意したのは当然だと思います。シャープは技術力には確かに優れているでしょうが、営業力が弱く、宝の持ち腐れになっていることは自明の理だったからです。巨額の赤字を垂れ流していた堺ディスプレイプロダクト(シャープディスプレイプロダクト)は鴻海が出資してからわずか1年で稼働率が上がり黒字化を達成したことでも分かります。鴻海精密工業、サムスン電子LGエレクトロニクスのように全世界の主要なユーザーを掴んでいる企業は日本にはありません。世界を自家用ジェット機で飛び回る鴻海の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長には産業革新機構など足元にも及びません。

 鴻海が出す金が産業革新機構より多いとか、銀行に負担を求めないとか、太陽電池事業以外のシャープの業態とブランドを継続する、といったことも選択に当たっての重要な要素だったでしょうが、何といってもシャープの技術力に見合った、企業の再生可能な世界への販売力が欲しかったのだと思います。鴻海の指導のもとで組織面でも、営業面でも、技術面でもあっと驚くイノベーションが発表になるでしょう。鴻海がやってきた電子機器の受託製造サービス(EMS)は、成長鈍化と人件費上昇で岐路に立っています。 最近鴻海は中国の電子商取引の最大手アリババと提携しました。シャープの買収計画とつながってすごいことが起きそうです。ドラッカーの言う通り、マーケティングとイノベーションが企業の全てです。シャープと鴻海は今月末までに最終結論を出すそうですが期待しています。この流れは日本にとっても良いことだと思います。

 

(2016年2月12日 田村寛人)

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