世界の政治・経済混乱の原因にスマホの影響がある(仮説)

 世界の政治・経済に混乱や異変が起きています。英国の国民投票で決まったEU離脱(Brexit)とその後のポンド急落、次期米国大統領選におけるトランプ氏の意外に高い支持率、欧州で右派政党や左派政党が勢いづき更なるEU脱退への動きまであること、多種多様なポピュリズム(大衆迎合主義)の流行、これらの原因となった中東・アフリカ・メキシコからの大量移民問題、欧米の最富裕層の拡大と中間層の衰退による不満の爆発、フィリピンにおける超法規的殺人の麻薬撲滅運動を進める過激なロドリゴ・ドゥテルテ大統領の誕生、シリアとイラクにまたがるIS(イスラム国)の勃興と世界各国でのテロ活動など、世界の政治・経済に今まで無かったような事態が起きています。

 欧米では従来の主流政党や中道派の指導者達の権力が弱まり、富が一握りの富裕層に集まって中間層が衰退する社会変革が起きています。本来、政治・経済の安定に欠かせない中間層の大きな不満が、ポピュリズム支持に回り、挙句の果てには欧米の若者の一部がISに参加することまで起きています。

 こういう政治・経済・社会現象には何か共通的な基盤となるものがあるはずです。ここ数年の世界に共通する情報伝達手段の急激な変化があり、スマホの普及によって、いつでも、どこでも、コミュニケーションとインターネットへの常時接続が可能になりました。更にスマホによるインターネットへのアクセスの急増と政治家・有名人等がSNSを使い出したことです。Twitterで短い文章をつぶやくと、大勢の人に伝わる。政治がポピュリズム化するのは当然です。政治家がSNSで自由に発信することが、国の将来のために本当に良いことなのでしょうか。現に政治家は自分の書いたTwitterのことで釈明に追われています。政治に衝動的な発言、誤った判断、危機感を煽る発言が横行し、国民のためになる政策論争が影薄くなってしまいます。

 経済への影響も深刻です。英国のEU離脱は世界経済に混乱を巻き起こすでしょうが、もっと身近でもあります。日銀の黒田総裁の悲願である年率2%の物価上昇、これが達成されないと投資が伸びず、日本経済は成長しません。ところが私自身も何か買う時に価格.comを調べます。何時でも・何処でも欲しい商品の店ごとの値段がスマホで分かりますから、大抵の人は最安値を選びます。信憑性には問題があります。同じ型番の商品を買っても、アフターサービスは店によってまちまちです。価格にも値引きがあります。商品を実際に販売していないところが、勝手に各店の表示価格を発表して良いものでしょうか。

 高校生のスマホ依存症も、将来の日本を背負っていく人たちの勉学の妨げになっていること、政治家・有名人等のSNSに乗せられてポピュリズム化しないか心配です。中学生についてもこれからスマホの所持率が上がってくると問題です。学校の強い指導が必要でしょう。大人も同じです。ポケモンGOが社会にどういう貢献をするのでしょうか。

 なぜ私がスマホの影響の仮説を述べるか、これには同じような世界の悲しい歴史があるからです。第二次世界大戦の前にナチスのヒットラーがどうやって政権をにぎり、大戦に突っ走ったか。スマホと同じく相手の見えないメディアのラジオを盛んに使ったのです。(スマホはビデオ通話のように相手の見えるときやYouTubeで動画を見せることもできますが。)ラジオの正式な放送開始は1920年米国ピッツバークでした。日本は1925年です。ヒットラーは1932年の選挙で当時未だ新しいメディアだったラジオでスローガンを浸透させ、それからは破竹の勢いでした。当時のラジオが今のスマホと考えればこれには恐怖を感じます。

 顔の見えるテレビは良いのです。化けの皮が剥がれます。米国の次期大統領の座を争う民主党ヒラリー・クリントン、共和党ドナルド・トランプ両氏の3回のテレビ討論会はトランプ氏の大統領としての資質の無さを感じさせました。キャロライン・ケネディ駐日米大使が米大統領選テレビ討論会の生放送を観覧するイベントで語ったことが1021日の読売新聞に次のように載っていました。「父ジョン・F・ケネディは、初めて討論会のテレビ中継が行われた1960年の大統領選で民主党の候補として戦い、共和党候補のリチャード・ニクソン氏を破った。当時の討論をラジオで聞いた人の多くはニクソン氏に、テレビ視聴者はケネディ氏に夫々軍配を上げた。」

 インターネットが普及する前、僅か二十年足らず前は、百科事典を引くこと、図書館へ行って調べること、新本屋・古本屋で本を捜すことが日常の仕事で、それ自体が楽しく、1つ利口になったという達成感を味わったものです。今は電車の中でも、居酒屋にいても、スマホ対応インターネットアルゴリズムのおかげで瞬時に、目的の情報が大した価値観を感じることなく入手できます。努力をしないで情報収集ができる時代、政治家や有名人のTwitterが毎日続々と入ってくる時代、真偽を判断できないと人間は誤った情報に洗脳されかねません。皆さんの悩み事をスマホからクラウドに送れば、AI(人工知能)が解決してくれる時代がもうすぐやって来ます。人間がしっかりした自我を持たないと情報の濁流に飲み込まれます。天国のスティーブ・ジョブズさんの本音を聞きたいものです。

 

(2016年10月27日 田村寛人)

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