世界経済のデフレ化

 中国の経済減速と投資バブルの崩壊に端を発し、原油を始めとする資源価格の急落、資源国の財政悪化、世界的な株安、中国の外貨準備の急減、世界経済をけん引してきた米国経済の下振れの可能性に言及したFRBイエレン議長の議会証言、欧州中央銀行と日銀のマイナス金利政策、日・米・独の国債価格の上昇(金利低下)、欧州大企業の決算悪化、急激な円高、等など、毎日のように驚かされる話が新聞・テレビ・ネット上を飛び交っています。日本の企業業績は昨年3月に引き続いて今年3月も良さそうですが、来年4月の消費税10%への引き上げがあるのか、衆議院解散で7月の同時選挙があるのかも含めて、非常に難しい問題に直面します。それでも、今後の見通しをつけないと、会社の長期計画を立てることができません。

 このままいくと、日・米・欧はデフレに突入しそうです。GDPがマイナス成長になるかどうかは定かではありません。米国はガソリンが安くなって家計が潤って個人消費が伸びるでしょうし、欧州経済をけん引するドイツはユーロ安で輸出増しの恩恵を強く受けますし、日本は円高や株安の影響はありますが企業業績は落ちてもそこそこは行けると思います。ある論文によれば、「歴史的に見てデフレと不況の関連性は全くない」ということですから、日銀の黒田総裁に悪いのですが、デフレに適応した政策によってプラス成長にすることは可能でしょう。失われた20年の中でも村山内閣、小泉内閣のときはデフレでしたが景気は良かったんです。米国とドイツはこれまで瞬間的なデフレしか経験していないので当初は戸惑うこともあるでしょうが、日本の失われた20年の経験は役に立つでしょう。但し、1929年からの世界恐慌の時は主要国は全てデフレでしたから、過ぎたるデフレは要注意です。

 予測がつかないのは、世界に5兆ドル(ほぼ日本のGDPに同じ)あると言われている余剰資金の動きです。オイルマネーだけで4兆ドルあるという説もあります。昨年中国から約1兆ドルが流出し、今年になっても止まりません。その一部が鴻海(ホンハイ)精密工業によるシャープの買収に使われるのは良いとして、石油などの先物取引から引き揚げた資金の行方が問題です。日本経済は安定していて、円は比較的安全な資産と見られていますから、米国の利上げの延期もあり、世界の余剰資金が円買いに押し寄せています。ほどほどにしてほしいと願うだけです。

 昨今の円高、国債の値上がり(金利は低下)を見ると、日本政府と日本経済は信用されているようです。

 中国経済の低迷は長引くでしょうが、米国の石油需要の増加と採算に合わないリグの閉鎖、コスト高のシェール・オイル会社の倒産、米国の原油輸出解禁により、石油価格の反転はそう遠くないと思われます。中途半端な妥協をせずに原油生産を抑えないサウジアラビアの狙いも同じです。原油価格が上昇すれば、今の世界経済の暗雲はかなり解消します。オイルマネーの引揚げの影響はありますが、短期的な過剰反応と見る向きが多い株価も上昇に転じると思います。それまでは、日・米・独で持ちこたえることができるのではないでしょうか。見方が強気過ぎるでしょうか?

(2016年2月24日 田村寛人)

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