政治も経済もTrial and Error(試行錯誤)で世界は不安定な時代に突入

 パソコンの扱いが上手な人はソフトをインストールするときもソフトを初めて使うときも、大丈夫かな?と思うほど手早くやって、行き詰るといとも簡単に次の手を打ちます。しかもそういう人は殆どの場合何とかうまくやり遂げます。このやり方を”Trial and Error”(試行錯誤)と言います。

 今や、トランプ大統領の誕生と政治家がTwitterで発信することが当たり前になったために、政治の世界にもTrial and Errorが蔓延してきたようです。トランプ大統領がバージニア州シャーロッツビルで起きた衝突事件を巡り、白人至上主義者と反対派の「双方に非がある」と言ったことについて、各界から批判の声が出て結局大統領の発言を賞賛したバノン主席戦略官を更迭しましたが、トランプさんは多少行き過ぎた発言をしても後で打つ手はあると思っているのでしょう。これなんかはTrial and Errorの典型です。何度かやり直せば良い所に収斂すると考えているのでしょう。就任7ヶ月を迎えた最近のトランプ大統領の支持率は40%を割り込んでいるようです。

 英国のキャメロン前首相は、EU(欧州連合)離脱を巡り全く不必要な国民投票を実施し、後任のメイ首相は329日、EU基本条約(リスボン条約)第50条を発動してEU離脱の手続きを開始、2年間の交渉が始まりました。英国は関税などで軟着陸を望んでいますが、EUは通商協議開始前に脱退交渉の懸案解決を主張しており、ポンドの急落と外国企業の英国脱出が続くと、もう一度国民投票をやることにもなりかねません。68日の総選挙では圧勝するはずの保守党の得票率は42.4%にとどまり、議席数は過半数割れとなりました。

 5月に投票総数の66%の支持を集めて選出されたフランスのマクロン大統領、その後の総選挙でもマクロン新党が過半数の議席を占めて圧勝しましたが、わずか就任100日で支持率が40%を切るまで急落しました。左派と右派の両方に魅力的な中道派のマクロン大統領でしたが、「親EU」、「左派でも右派でもない政治」で「変革」を目指す、ということで一国の政治をうまく導けるのでしょうか。今や国民の過半数が大統領の仕事ぶりに不満を抱いていることからすると、マクロンさんもTrial and Errorの政治になりかねません。

 さて、日本の安倍首相は森友学園と加計学園の問題、防衛省の文書問題と稲田防衛大臣の辞任によって世論調査での支持率は30%を切るところも出るほど急落しましたが、内閣改造と北朝鮮の弾道ミサイルや核実験のおかげで何とか40%を回復したようです。影響が最も大きかったのが加計学園の獣医学部新設問題で、加計学園(多くの学校を運営している学校法人)の理事長と大学時代からの永年の友人であるにも拘わらず安倍首相が議長を勤める「国家戦略特別区域諮問会議」で決めたことが問題なのです。橋下徹さんがTwitterで指摘するように「不正の有無ではなく外から見て疑われないような公正性(外形的公正性)を確保するために安倍さんは獣医学部新設の件では(国家戦略特別区域諮問会議の)議長を外れるべきだった」のは当然のことです。安倍さんは脇が甘い。規制改革は日本の成長の源泉であって、国家戦略特区はそのための鍵になる重要な制度です。壊してもらっては困ります。

 日銀の黒田総裁が異次元の金融緩和を始めてから4年が経ちました。消費者物価上昇率は未だ目標の2%になっていません。しかしながら日本のマネタリーベースは20178月末現在で469兆円にも達しています。2010年頃は100兆円、異次元緩和が始まった2013年は130兆円でした。聡明な黒田さんですから出口はお考えになっていると思いますが、素人目にはこれでインフレにならないことが不思議でなりません。

 囲碁や将棋の世界では、プロは「待った」をやりません。素人の「待った」は”Trial and Error”(試行錯誤)なのです。戦後の復興期と高度成長期は政治にも経済にもTrial and Errorなんかありませんでした。国民は皆が夫々の目標を持って、真っ直ぐに突き進んだものです。貧しさから逃れるために必死に頑張ったのです。政治家も官僚も財界人も一般人もプロだったのです。

 以上から云えることは、世界の政治・経済はTrial and Error(試行錯誤)の時代に入った、直接選挙の大統領も間接選挙で選ばれた首相も支持率40%なのは既存の政治に不満で結果はどうあれ変革を求めるファンがその程度いる、しかしどう見ても世界はプロの政治家で動いてはいない、ということです。世界は不安定な時代に突入したのです。残念ながらすぐには解決策(出口)は見出せないでしょう。世界の人々に共通の目標が無いからです。それを言い出せる政治家がいないからです。その中で日本は世界に通用する明確な国家像と国の目標を示すことが肝要だと思います。できるでしょうか?

追伸:

 93日北朝鮮の金(キム)正恩(ジョンウン)が遂に水爆の実験をやりました。さすがにトランプ大統領もこの確信犯に対しては、これまでのように交渉をちらつかせた駆け引きは通用しないことを悟ったでしょう。トランプ大統領がどのような結論を出しても日本は巻き込まれます。日本政府と国民は心の準備が必要です。

 

(2017年9月7日 田村寛人)

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