昔と今ではどちらの世界で暮らしたいですか

 「昔と今;どちらに暮らしたい」とGoogleで検索すると、1位に「昔と今ではどちらの世界で暮らしたいですか」(hakuwa999さん)が出てきます。YAHOO!知恵袋の質問(2010/9/13)です。カテゴリーは「移住・田舎暮らし」で掲載されていますから、同じような疑問や考えを持つ人が見ているようです。戦後日本が復興を遂げる頃と物の無い時代のことをご存じですから、私くらいのお年かも知れませんが、田舎への移住をお考えだとするともっと若くないと決断できないでしょう。いずれにしてもこのYAHOO!知恵袋の質問は良い響きですね。

 「昔」とは朝鮮戦争で戦後復興期が始まった昭和25(1950)から高度成長期を経て第1次オイルショックの昭和48(1973)までを指すと思います。その後は安定成長期とバブル景気が続きます。「今」とはバブルが崩壊した平成2(1990)から今日までを指すと思います。「昔」と「今」を生きる私の経験から言いますと、「昔」は国も企業も個人も横並びで成長を遂げることができました。目標は欧米民主主義の国家であり、企業であり、欧米並みの生活水準でした。殆どすべてにモデルがあり、それに「追い付け追い越せ」と国民のみんなが頑張ったのです。米国の道路に車がいっぱい走っている写真を見て、驚いたものです。私の初任給から寮費や税金を差し引いた手取りが13,800円の月があり、当時上映していた「俺の月給13,800円」を見に行きました。背広を1着仕立てたら月給が飛ぶ時代でした。唯一の国産乗用車「ダットサン」が60万円、でも何時かは買うぞ、と決意したものです。インフレ時代で給料は上がりました。楽しくもあり、皆が精いっぱい働く爽快感もありました。電子式コンピュータの出現からIBM360シリーズ、アポロ計画の成功まで、技術は急速な発展を遂げました。東西冷戦の勃発もこの時代です。 

 「今」は日本も世界も混乱期です。国も企業も個人も目標を見失いがちです。国際的には発展途上国が力を付け、中国が経済・軍事面で巨大になり、日本は右往左往するばかりです。企業は円高で海外生産にシフトし、近頃円安になって大幅に利益を増やしていますが、それを国内設備投資にあまり振り向けようとしません。国民はデフレ時代に身に着いた倹約の習慣を給料が多少上がっても持ち続けますから、消費支出が伸びず、GDPは一向にプラスになりません。昔は少なかった非正規労働者が今は40%を占めるに至り、就業の不安定さも問題です。しかしながら「今」の生活水準は「昔」に比べれば雲泥の差で良くなっています。ITの進歩は、スマホというコンピュータを携帯して、何時でも何処でも情報を発信し、受け取ることができます。「昔」の目線で「今」を考えることが間違っているのでしょう。スマホの生みの親スティーブ・ジョブスは「今」の天才であり、「昔」ならできなかったことです。どう考えても「昔」と比べて「今」は素晴らしい時代と思います。国民が必ずしもその様に思わないのは、国家・国民の一致した目標が無いからではないでしょうか。米国と欧州の国々には夫々のカルチャーがあります。それを維持し、発展させるのが彼らの目標に見えます。日本にも素晴らしいカルチャーがあります。

 その伝統的なカルチャーから国民が一致して望む目標を生み出すことは可能と思います。国の発展や経済成長は国や国民の目標が決まれば、自ずと付いてくるものでしょう。

 

(2016年3月24日 田村寛人)

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