アストロバイオロジーとパンスペルミア説の壮大な夢の重要性

 小学生のころ、大好きで何度も読んだ本といえば、日本の神話の神々、「海底二万マイル」のネモ船長と潜水艦ノーチラス号、「宇宙戦争」の火星人です。ナトリウム・水銀電池で陸地に寄らず長期間航行できる潜水艦ノーチラス号での出来事、巨大ダイオウイカとの戦いなどは当時の読者に手に汗握る緊張を与えました。火星に巨大な運河を掘り、地球人よりはるかに進んだ文明を持つ火星人が攻めてきて、目に見えない熱線が人間と家々を焼き払う宇宙戦争のはじまり、その表紙絵から火星人と言えば頭の大きいタコのイメージがいまだに頭から離れません。イザナギとイザナミが天の浮橋から下界に下ろした天の沼矛でオノゴロ島(淡路島か)はじめ日本列島を作り上げ、その子アマテラスの孫ニニギノミコトが日向の高千穂に天孫降臨して日本という国家ができていくという神話は、具体性のある内容を伴っていて小学生にはとても理解しやすく、信じられるものでした。

 現在の小学生はスマホとLINE依存症ですから、この様な本を読む人は殆ど無いと思います。小学生の夢が無くなることは、将来の日本の社会や政治にも影響してきます。悲しい現状だと思います。ところが、壮大な夢を持って地球上の生命の起源を科学的に追い求めている人たちが日本の大学にも米国のNASAにも、否、世界中にいるのです。しかもそれは「宇宙における生命の起源、進化、伝搬および未来」についてのNASA  Astrobiologyアストロバイオロジーの研究へと発展しています。もっと昔には18世紀に「宇宙空間には生命の種が広がっている」「地球上の最初の生命は宇宙からやってきた」とするPanspermiaパンスペルミア説があり、これも復活の兆しがあります。なぜこの研究が重要かといえば、地球上の生命(人間も含めて)が将来、宇宙のどこかで生き続けることができるか、という極めて重要で壮大な夢を持っているからです。

 「宇宙は生命に満ちあふれ、地球生命もまた宇宙から飛来した」という考え方を、1世紀以上も前にスヴァンテ・アーレニウス(ノーベル賞受賞者)が出しています。胞子の形の生命はそれがミクロンサイズ程度であれば宇宙空間を光の放射圧で運ばれることを計算しています。別の人たちは、胞子は隕石に乗って宇宙空間を旅する、という考え方をとっています。ある人たちは、「文明はいずれ破綻する。自らの運命を予知した知的生命体は、この素晴らしき生命という存在を長く残そうと考え、何億年も生きられる凍結乾燥した細菌を乗せたロケットを、近くの生命が生きられそうな惑星に向けて打ち上げる。生命はそこで進化し、いずれ知的生命体が生まれるだろう」それが地球生命だ、と言っているのです。この説の主人公は火星人でしょう。この説によれば、我々人間は、タコ入道の火星人が考えたストーリーから数十億年後に生まれたことになります。壮大な夢に満ち溢れていると思いませんか。

 私がこのブログを書くきっかけとなったのは、千葉工業大学 惑星探査研究センター所長 松井孝典先生の寄稿をある雑誌で読んだからです。松井先生は成層圏で宇宙空間から来た微生物採取や流星雨に伴う流星塵の採集を計画しておられます。人類にとって最も重要な研究が始まったばかりなのです。小学生にも大きな夢を持たせることができるように研究を進めてください。

 

(2016年6月23日 田村寛人)

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