模型は古代から現代、未来へ

法隆寺の五重の塔を考えるとき、模型を作らないで建立したとはとても考えられません。

聖徳太子へのプレゼンテーション、天皇への説明、全体の三次元的空間の再現、屋根勾配のデザイン、斗栱などの組物の検討、宮大工への説明など、模型が使われたに違いないと思われます。

エンサイクロペディア・ブリタニカによりますと、古代エジプトでは来世で死者の役に立つように精巧な家財道具のミニチュアを墓所に残しているとのことです。日本では埴輪がよく似た意味で用いられました。ピラミッドの石をどうやって積み上げたかについては諸説ありますが、これも模型を使って技術確認が行われたと考えられます。

サグラダ・ファミリア教会の地下にある模型制作工房

サグラダ・ファミリア教会の地下にある模型制作工房

ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂から木で作られた建築模型が多数発見されたのを日本の著名な建築家が見て来られましたが、その中には既に無い建築物も含まれていたそうです。

1882年に着工し、完成は2256年頃と言われているバルセロナのサグラダ・ファミリア教会の地下には、今も模型制作工房があり、常に建築設計上の問題点検討のため各種模型の制作が行われています。(写真)

CGで色々なことができるようになった現代でも、細部までの正確さ、視覚による対象把握の容易さ、一度に大勢の人が三次元的空間の再現を見ることができる模型の活用は益々広がってきていくでしょう。

スケールアップ手法の確立により縮尺模型で費用をかけずに設計やデザインを進めることができます。一部には実物大の所謂モックアップも用いられています。工場建設でも生産効率向上のため、レイアウトの検討模型が作られます。

第三の産業革命になると言われている3Dプリンターは、このような価値創造のプロセスを変えようとしています。CADではなく、建築家やデザイナーの発想に近いCGからの造形が可能になってきました。今までは競合すると考えられたCGと模型のコラボレーションです。

可視化風洞実験

可視化風洞実験

自動車、鉄道車両、航空機などの開発に最近は数値流動解析が用いられるようになりましたが、近似解の裏付けのための風洞実験を併用することが一般的です。風洞実験用模型の三次元モデルデータを数値流動解析に使って正確な比較を行っています。このように最新の理論解析と模型とは助け合う存在です。

趣味の対象だった個人の模型は、高度のメカ、電気、制御を伴ったリモコン型から自立型へ、更にロボットへと進化し、ロボットと共生する未来社会も予想されています。介護などへのロボットの利用は現実のものになりつつあります。

模型には過去、現在、未来とも夢があります。

(2013年11月1日 田村寛人)

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